企業がDX化を成功させるには|社内でDX研修を行う必要性や実施する際のポイントについて解説

Python研修

企業がDX化を成功させるために、何をすれば良いのでしょうか?この記事では、DX化を目指すにあたって、企業にとって人材育成が必要課題である理由と、育成のためのDX研修を実施する際に気をつけるポイントを解説します。社員への研修などを通して、実際にDX化に成功している企業の実例も紹介します。
DX化を目指すための対策をしていきたいけれど、どうすればよいか分からないと悩んでいる企業の担当者は、この記事を最後まで読んで、方針を決める際の参考にしてみてはいかがでしょうか。

この記事の執筆・監修

キノコード
キノコード

テクノロジーアンドデザインカンパニー株式会社のCEO。
日本最大級のプログラミング教育のYouTubeチャンネル「キノコード」や、プログラミング学習サービス「キノクエスト」を運営。
書籍「あなたの仕事が一瞬で片付くPythonによる自動化仕事術」の著者や、雑誌「日経ソフトウエア」の寄稿などの実績も多数。

DX化促進にはリスキリングで人材育成がカギ

企業のIT化・DX化を推進していくにあたって、対応できる人材の育成が課題となっています。
経済産業省のレポートによれば、現在のまま対策がなされなければ、2030年までに、需要に対してIT人材の供給が40〜80万人不足すると予測されています。
参照:IT人材育成の状況等について(経済産業省)
https://www.meti.go.jp/shingikai/economy/daiyoji_sangyo_skill/pdf/001_s03_00.pdf

DX化を支える人材が不足することが分かっているにも関わらず、そのための対策がされていないのが現状です。
社員が企業のDX化において必要とされるスキルを身につけるために、学び直しをすることをリスキリングといいます。
会社が社員のリスキリングを全面的に支援している割合は、アメリカが37%であるのに対し、日本は約8%と非常に少なくなっており、日本は世界に遅れを取っています。

日本のデジタル競争力は低下している_デジタル人材育成プラットフォームについて

参照:デジタル人材育成プラットフォームについて(経済産業省)
https://www.meti.go.jp/policy/economy/jinzai/reskillprograms/reskillwebinar/reskill_webinar2022_shiryo6.pdf

このままでは、世界のデジタル競争で日本が負け続けてしまうため、国も対策を講じるとしています。
社員のリスキリングを支援するため、経済産業省は2022年度の第2次補正予算案に、753億円を計上する方針を発表しています。

参照:リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業(経済産業省)
https://www.meti.go.jp/information/publicoffer/ikenboshu/2022/downloadfiles/i221114002_01.pdf

政府が動き出したことからも分かる様に、DX人材育成のためには、セミナーや研修を実施するなどして、企業が社員のリスキリングを支援するのは、避けられない課題だと言えるでしょう。

DX人材育成のためリスキリングに力をいれる企業が増えている

DX推進とセットで語られることが多い、リスキリングという言葉の定義を確認しておきます。リクルートワークス研究所が2021年2月に発表した資料によると、リスキリングとは、
「新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する/させること」とされています。
海外では2000年代後半からすでにリスキリングの必要性を認識しており、Amazonやウォルマートなどの有名企業では、DX研修を実施し、社員教育に取り組んでいます。
日本においても、日立製作所や富士通などの大手企業が、リスキリングを重要課題と位置づけ、DX基礎研修などを実施し始めています。

デジタルリテラシーエクササイズ

DX化を目指していくためには、革新的な変革を起こすことが必要です。そのためには、業界の知識や経験にプラスして、デジタルに関する知識が求められます。
日本では特に、業界知識や経験は豊富でも、デジタル知識が足りない人が多いため、常に変化していく世の中において、新しいアイディアが生まれにくいのです。
社員が仕事において新しい価値を創出するため、リスキリングによって、デジタル技術を活用できるようになることが、世界中で求められています。

参照:リスキリングとは―DX時代の人材戦略と世界の潮流―
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/digital_jinzai/pdf/002_02_02.pdf

リスキリングでDX化に成功している企業

社員へのリスキリングを行うことで、DX化の一歩を踏み出している企業も増えてきています。
ベネッセコーポレーションの例では、ある社員がデータ分析を学び、データサイエンティストに転身して活躍し始めました。企業内に専門知識を有するデータサイエンティストが何人も必要ということではないが、データを正しく活用できるようになることの重要性を認識し、基礎知識として全社員にDXリテラシー研修を実施しています。
その他には製造業でも、会社がDXのオンライン研修を全社員に実施するなど、リスキリングで、学んだ知識を業務に活かし、社員が成果を出している例があります。プラスチックなど化学品の原料調達、販売を行う創業120年の専門商社、北村化学産業では、もともと総務部に在籍していた社員が、AIやデジタル技術を学び、現在は新規事業のリーダーになっています。新規事業では、工場の稼働をAIが分析するソフトを開発して販売したり、作業日報を電子化するシステムを開発したりしており、いずれも工場の業務改善に繋がっています。業務効率が上がることにより、生産性が高まり、結果的に本業の売上アップにも貢献しています。
北村化学産業では、営業部署の若手社員や幹部もIT関連の資格を取得するなど、社員の学びなおしをバックアップしています。

このように、社員がデジタルスキルを身につけることは、多くのメリットがあります。企業にとっては業務変革につながるようなアイディアが社員から出てきたり、社員自身もできることが増えて、仕事に対して自信がつき、モチベーションアップに繋がったりといった効果が期待できます。
これにより、新規事業が生まれたり、既存事業の業務改善が可能になったりすることで、結果として企業の売上を上げられる可能性があることを、この成功事例が証明しています。

参照:
ベネッセのDX人材育成 リスキリングも「赤ペン先生」(NIKKEIリスキリング)
https://reskill.nikkei.com/article/DGXZQOFK143450U2A011C2000000/

「リスキリング」 デジタル時代の人材戦略(NHK)
https://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/477161.html

DX研修を実施する際のポイント

DX化に向けて、具体的に動き出している企業の成功例をご紹介しました。DX化を促進していくためには、企業が社員の学びをバックアップする必要があることがお分かりいただけたかと思います。ここからは、社内でDX化に向けた研修を実施する際の、ポイントについてお話します。

DX研修の目的を明確にする

なぜDX研修を行うのか、曖昧なまま始めてしまうと、社員の理解が得られずモチベーションが低くなってしまいます。やらされていると感じながら受けた研修では、スキルが身につきません。
DX研修を実施する目的は企業によって様々です。企業にとって、DX化するために自社には何が足りていないのかを明確にした上で、必要な知識やスキルを補うために研修を行うということを、受講者にしっかりと説明しましょう。
経済産業省のレポートによると、DX化を目指すためには、全てのビジネスパーソンがデジタルリテラシーを習得していることが必要であり、そのうちDXを推進していく立場にある人材像としては、図のように5つの職種をあげています。

DXを進める企業等におけるビジネスパーソンの人材像_デジタル人材育成プラットフォームについて

参照:デジタル人材育成プラットフォームについて(経済産業省)
https://www.meti.go.jp/policy/economy/jinzai/reskillprograms/reskillwebinar/reskill_webinar2022_shiryo6.pdf

システムやネットワークなど、ITに関する基礎知識(全員に必要)
・プロジェクトを成功に導くためのマネジメントスキル(ビジネスアーキテクト・プロジェクトマネージャー)
・PythonやRなどのプログラミング言語を使ったデータサイエンス分野の知見(データサイエンティスト)
・AIやIoT、クラウドなど先端技術に関する知見(エンジニア・プログラマー)
・システムをサイバー攻撃から守るセキュリティについての専門知識(サイバーセキュリティスペシャリスト)
・サービスやシステムの設計に関する知見(ビジネスアーキテクト・UI/UXデザイナー)

これらのスキルが、社員に足りているかどうかを確認し、足りていなければ、それを習得するために研修を行います。

全社で研修を実施する

一部の部署だけでDX研修を実施すると、実施していない部署からはDXに対して理解が得られず、いざ研修が終わって実務に活かそうと動き出したときに、他部署に協力してもらえないというケースも出てきてしまいます。
DXに対する社内の理解者が多ければ多いほど、新しいシステムを導入しようとなった際に、抵抗なく受け入れられ、業務改革しやすくなります。

受講者のレベルに合わせたコースを用意する

全社員に対してDX研修を行うことで、企業全体で理解が深まることは間違いありません。ただし、持っている知識や経験、興味の度合いは社員によって異なりますので、全社員一斉に同じ内容の研修を行うのはあまり得策ではありません。
ITに苦手意識がある社員に対して、いきなりプログラミングの専門知識についての研修を実施しても、得られる効果は高くありませんし、システムに関する基礎知識のある社員に、既に知っている内容を研修するのも時間の無駄です。
DX研修を行う際は、個々の受講者のレベルを把握して、適切な研修内容を準備するようにしましょう。そのためには、社内でヒアリングやテストを行って、どの社員が現在どんなスキルを持っているか把握し、これからどんなスキルを身に付けてもらうと良いのか、よく検討する必要があります。

研修をどこに依頼するか決める

社内でDX研修を実施する際、内製化するか、外部に委託するかという2つの選択肢があります。
内製化する場合、専門知識のある社員に講師になってもらって、カリキュラムを考えるところから始めることになります。ただ、DX人材が不足している状況では、社内に知識のある社員がいたとしたら、貴重な人材なので教育よりも実践に回ってもらった方がいい場合もあります。
また、社員にデータ分析やAIなどの専門知識があっても、教育のプロではないため、講師として教えるのが得意ではないケースも考えられます。
外部に委託する場合は、研修会社やプログラミングスクールに費用を払って委託することになります。
プログラミングスクールや研修の専門会社などが実施するDX研修の場合、プロの講師が整備されたカリキュラムに沿って進めていくため、無駄な時間をかけずに効率よくスキルを習得できます。
最近では、e-ラーニングやオンライン授業を実施しているところも多くなっていますので、そのような形式を採用すれば、忙しい社員でも自分のペースで学習を進められます。
社内に研修実施に割く人的リソースがない場合は、外部に委託するのがおすすめです。

まとめ

企業がDX化していくためには、社員の人材育成が必要であることと、DX研修実施のポイントについて解説しました。
日本企業がこれから世界で活躍していくためには、社員のリスキリングによって、事業変革を起こしていく必要があります。DX研修はその一歩を踏み出すために、どの企業においても行うべきだと言えるでしょう。

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