DX推進に役立つ資格を職種別にご紹介!DXの役職別に必要なスキルやマインドセットも解説

DXを推進していくにあたって、対応できる人材の不足が課題となっています。
DXに関する知識やスキルを持っている人材は、圧倒的に不足している状況です。
そのような人材はそもそも母数が少なく、外部から新たに採用するのはハードルが高いため、既存社員に研修を行ったり、学習支援をしたりして、育成することでDX人材不足を補う企業が増えています。
DXのスキルを身に付ける上で、何から始めていいか分からない場合には、資格取得を目指すのもひとつの方法です。
この記事では、DX人材に必要とされるスキルやマインドセットを職種別に解説した上で、それぞれのポジションにとって、DX推進に役立つ資格をご紹介します。
DXに役立つ資格は実はいろいろありますが、やみくもに取得を目指せばいいというものではありません。
職種や目的に合った資格を取得することで、実際の業務に活かせるようになります。
これから社内でDX研修や資格取得支援をおこない、DX人材を育てていこうと考えている企業の担当者は、参考にしてみて下さい。

DX人材に共通して必要なマインドセット

DXの職種はいろいろありますが、DX人材として活躍するために、全ての職種において必要なマインドセットがあります。

  • 現状維持をよしとしない考え方
  • 課題を見つけ出す力
  • 新しいビジネスの発想力、企画力
  • まわりを巻き込む力、調整力
  • 失敗しても諦めず糧にする力
  • 中長期的に物事をとらえる考え方
  • 学び続ける姿勢

DXを推進していくにあたっては、曖昧な状況のなかから課題を見つけていくことから始まります。
また、プロジェクトを進めていくなかで、うまく周囲の協力を得られなかったり、壁にぶち当たって、思い通りにいかなかったりすることも出てきます。
そのような場面では、現状を変えていこうとする力強い意思やリーダーシップ、諦めない気持ち、周囲の人間を巻き込む力などが必要になってきます。
また、変化の速いITトレンドに対して、自ら興味を持ち情報をキャッチアップする力、学び続ける姿勢も非常に重要です。

DX推進人材が担う7つの職種と必要なスキル

IPAが発表している「DX白書2021」によると、DX人材には、大きく分けて次の7つの職種があります。

デジタル事業に対応する人材

各職種に求められるスキルは、以下の通りです。

① プロダクトマネージャー
デジタル技術に関する知見、自社のビジネスへの深い理解、マネジメントスキル、プロジェクトマネジメントスキル

② ビジネスデザイナー
企画力や発想力、自社のビジネスに対する深い理解、ファシリテーション能力、プロジェクトマネジメントスキル

③ テックリード(エンジニアリングマネージャー、アーキテクト)
DXに関するシステムの課題分析能力、要件定義能力、アーキテクチャ設計力、プロジェクトマネジメントスキル

④ データサイエンティスト
ビジネス課題の理解と解決力、情報処理・人工知能・統計学などのデータサイエンス力、データを正しく加工し実装・運用できるようにするデータエンジニアリング力

⑤ 先端技術エンジニア
機械学習、ブロックチェーン、AR/VRなどの先端技術に関する理解と知識、IT業界のトレンド把握力、コミュニケーション能力

⑥ UI/UXデザイナー
コミュニケーション能力、ユーザー目線の共感力・想像力、マーケティング力、コーディング力

⑦ エンジニア/プログラマー
プログラミング能力、システム設計能力、プロジェクトマネジメント力、インフラ構築やシステム保守に関する知識

参照:DX白書2021(独立行政法人情報処理推進機構)

各職種におすすめのDXの資格

ご紹介した通り、職種によって役割が異なりますので、必要とされるスキルも変わってきます。
ここからは、職種ごとにおすすめのDX関連資格をご紹介します。

プロダクトマネージャー・ビジネスデザイナーにおすすめの資格

・+DX認定資格
IoT検定制度委員会が実施する認定資格で、DX推進の基礎スキルを測る内容です。全問中80%以上正解すれば合格となり、問題数が全部で30問と少ないので、比較的手軽に始めやすい試験といえるでしょう。Web受験形式で、もし不合格でもすぐに再受験可能となっています。IT未経験者でも受けやすいので、DXのはじめの一歩として受験を検討してみてはいかがでしょうか。
参照:https://www.iotcert.org/plusdx/

・DX検定
日本イノベーション融合学会が実施している資格試験です。内容は、IT先端技術トレンドとビジネストレンドの知識を幅広く問うもので、1000点満点中600点以上で合格となります。試験時間は60分、問題数は120問でWeb形式での実施となるため、自宅や会社のPCから受験可能です。
合格した場合、獲得したスコアに対して、レベル認定証が発行されます。
600点以上:DXスタンダードレベル
700点以上:DXエキスパートレベル
800点以上:DXプロフェッショナルレベル

日本イノベーション融合学会ITBT検定委員会が「学習シラバス」を発行しているため、それを使うとコストをかけずに学習できます。シラバスにはキーワードが一覧で記載されており、事例や用語について自分で調べて覚えるスタイルです。
参照:https://www.nextet.net/kentei/test/index.html

・ITコーディネータ試験
経済産業省が推進している資格制度で、通商産業省の国家プロジェクトとして2001年から始まっています。
ITコーディネータ試験と専門スキル特別認定試験の2種類あり、対象の資格保持者は専門スキル特別認定試験を受験、ITコーディネータ試験は誰でも受験可能です。
資格を取得するには、試験に合格するだけではなく、合格後にケース研修を受講・修了し、認定登録料を支払って資格の申請を受けることでITコーディネータとして認定されます。
ITコーディネータ試験は120分で100問、専門スキル特別認定試験は80分で60問出題され、受験方式はCBT方式、受験者が試験会場を選んで予約する方法を取ります。
問題の内容としてはIT経営について、プロジェクトマネジメントについてなどが出題されます。
参照:https://itc-shikaku.itc.or.jp/exam/

テックリードにおすすめの資格

・プロジェクトマネージャ試験
情報処理推進機構(IPA)が運営する国家試験です。
システム開発のプロジェクトマネージャとして、プロジェクトを成功させるため、また、メンバーを成長させるための知見を問うもので、午前2部、午後2部の4部構成、全部で300分の時間で、58問が出題されます。
試験では、プロジェクトマネジメント、プロジェクト全体計画の作成、スコープ・予算・スケジュール・品質・リスク、プロジェクトの計画・実績・分析・評価などについての内容が出題されます。
平均合格率が14%ほどと、難易度が比較的高い試験です。システム開発に従事している人でも、最低50時間は学習する必要があると言われています。
参照:https://www.jitec.ipa.go.jp/1_11seido/pm.html

・ITストラテジスト試験
こちらもIPAが実施している国家資格です。プロジェクトマネージャ試験と同じく合格率は15%前後と難易度が高く、300分で58問が出題されます。内容としては、事業環境やIT動向の分析、全体システム化計画、情報システム戦略などが出され、ITを活用した経営戦略や事業戦略の策定についての知見があることを証明する資格です。
この資格を取得することで、医師や公認会計士などと同じく、厚生労働省が認める専門職と認定されます。そのため、難易度も高く、学習時間をしっかりとらないと合格できません。
システムの企画をおこなう業務で役立つ資格ですので、テックリードにはおすすめですが、実装がメインの一般のエンジニアやプログラマーが取得してもあまり活用する機会はないでしょう。
参照:https://www.jitec.ipa.go.jp/1_11seido/st.html

データサイエンティスト、先端技術エンジニアにおすすめの資格

・AI実装検定
AI実装検定は、ディープラーニングに関する実装能力と知識を測る試験です。AI実装検定実行委員会(AIEO)が実施していて、AIに関心がある人なら誰でも受験可能です。AIの知識と実装力を、試験によってB級・A級・S級に分けて認定レベルを設けています。合格すると、ディープラーニング実装師の称号が与えられます。
難易度としてはS級が一番難しいのですが、B級とA級、A級とS級それぞれの実装レベルの間に、後述する日本ディープラーニング協会のG検定・E資格が位置づけられるという特徴があります。レベル構成としては以下のようになります。

・AI実装検定S級
・E資格
・AI実装検定A級
・G検定
・AI実装検定B級

受験形式はCBTテスト方式で、B級は試験時間40分、A級とS級は60分でそれぞれ70%以上正解すると合格となります。
B級は入門編でAIの概要についての基礎的な知識を問うもの、A級はディープラーニングの実装について、数学・プログラミングの基礎知識をもち、自分でディープラーニングについての書籍を読んで独学できるレベルを認定します。S級になると、実装力だけでなく画像処理メインの実践的な力、自然言語処理や有名モデルの実装など、応用力が問われる内容となります。
参照:https://kentei.ai/

・Python3エンジニア認定試験
一般社団法人Pythonエンジニア育成推進協会が実施している民間資格です。開始から2年ほどしか経っていないにも関わらず、受験者は既に5000名を超えていることからも、Pythonという言語が人気であり注目されていることが分かります。
資格区分としては3種類あります。

・Python3エンジニア認定基礎試験
・Python3エンジニア認定データ分析試験
・Python3エンジニア認定実践試験(2022年5月よりベータ試験開始)

認定基礎試験では、Pythonの文法の理解や基礎知識を問う内容が出題されます。
認定データ分析試験では、データ分析の基礎や方法を問う内容で、ライブラリのPandasの知識についても出題されます。この2つの試験時間はどちらも60分、70%以上正解で合格となります。
認定実践試験は、より実践的な内容として仕様やライブラリの使い方を問う内容が出題されます。試験時間は75分、合格ラインは70%以上で、3つの試験方式はいずれもCBT方式(マウス選択式)となります。
参照:https://cbt.odyssey-com.co.jp/pythonic-exam.html

・G検定とE資格
日本ディープラーニング検定協会が実施している資格には、G検定(ジェネラリスト検定)とE資格(エンジニア資格)があります。G検定はディープラーニングを活用するビジネスパーソン向け、E資格はディープラーニングを実装するエンジニア向けの資格となっています。

・G検定
試験内容としては、人工知能やディープラーニングの概要や、AIのビジネス活用、統計検定3級程度の統計学についての知識問題などが出題されます。合格ラインは6~70%です。
試験時間は120分で220問(選択式)、オンライン受験方式で自宅のPCから受験可能です。

・E資格
AI・機械学習エンジニアの実装スキルを認定する資格です。内容としては、線形代数、確率と統計、生成モデル、軽量化と高速化技術などが出題され、試験時間120分で100問を解く形式です。受験方式はG検定とは違って、指定の受験会場にて受験するスタイルです。
G検定よりも難易度が高く、人によって異なりますが、目安としては100~300時間の勉強時間が必要になります。
参照:https://www.jdla.org/certificate/

UI/UXデザイナーにおすすめの資格

・ウェブデザイン技能検定
特定非営利活動法人「インターネットスキル認定普及協会」が実施している、ウェブデザインやシステム構築の知識や実務能力を測る国家検定です。
3級から1級まであり、それぞれ学科試験と実技試験に合格する必要があります。
合格ラインは100点満点中70点以上、試験科目は共通ですが、等級が上がるほど、出題範囲が広くなります。
3級:ウェブデザイン入門編。誰でも受験可能。合格率は60〜70%、試験時間は学科45分、実技60分。
2級:実務経験や職業訓練修了などの条件のうちいずれかひとつを満たす人が受験可能。合格率は30〜40%、試験時間は学科60分、実技120分。
1級: 実務経験や職業訓練修了などの条件のうちいずれかひとつを満たす人が受験可能。また、学科試験に合格した人のみ、実技試験が受けられる。合格率は10〜20%、試験時間は学科90分、実技180分、ペーパー実技60分。
参照:https://www.webdesign.gr.jp/

エンジニア/プログラマーにおすすめの資格

・データベーススペシャリスト試験
IPAが実施している国家試験です。データベースを扱う中堅以上のエンジニアにおすすめですが、合格率は10%代と難易度が高く、経験のあるエンジニアでもある程度学習時間の確保が必要となります。
試験は午前と午後に分かれていて合計4つあり、全ての試験において100点満点中60点以上取れば合格となります。
午前中の試験のうち1つは、応用情報技術者試験に2年以内に合格しているなどの条件を満たしている人は、免除となります。
試験方式は全国の試験会場での実施となり、午前の試験は選択式、午後は記述式で行われます。出題内容は、基礎理論やコンピューターシステム、データベース設計法、セキュリティ対策法、テーブル設計やSQL設計など、幅広く出題されます。
勉強時間は実務経験者でも目安として200時間ほど必要と言われています。難しい試験ですが、取得すればデータベースのスペシャリストとして、DXプロジェクトでも活躍できるでしょう。
参照:https://www.jitec.ipa.go.jp/1_11seido/db.html

・ネットワークスペシャリスト試験
データベーススペシャリストと同じくIPAが実施している国家資格で、試験に合格すれば、ネットワークの専門知識を有するスペシャリストとして認定されます。
こちらも難易度は高く、合格率は10%前後となっています。
試験形式はデータベーススペシャリストと同じく、全部で4つの試験があり、全国の試験会場での実施、また、試験問題は午前の試験は選択式、午後は記述式で行われます。
応用情報技術者試験に合格するなどの条件をクリアしている人は、午前の試験がひとつ免除されます。試験内容としては、ネットワークの知識を問う問題はもちろん、数学やコンピュータの基礎理論から、セキュリティやマネジメントに関する内容、また、経営や法律に関する問題まで幅広く出題されます。難しい試験ではありますが、取得すればネットワークエンジニアのみならず、マネジメントもこなせるDX人材として活躍することも可能です。
参照:https://www.jitec.ipa.go.jp/1_11seido/nw.html

・AWS認定
AWSのクラウドサービスについての知識を問う認定資格です。
近年、多くのWebサービスがAWSのクラウドコンピューティングを使って開発されているため、これを運用・保守可能な人材が必要とされています。
AWS認定は全部で11種類あり、レベルやカテゴリ別に分かれています。

・クラウドプラクティショナー(基礎レベル)
目安として、6か月程度のAWS実務経験と業界知識が求められます。試験時間90分で65問が出題されます。クラウドの概念やセキュリティ、テクノロジーについてなどの、AWSに関する基礎的な内容となります。

・ソリューションアーキテクト アソシエイト(中級レベル)
目安として、1年程度のAWS実務経験と業界知識が求められます。クラウドプラクティショナーよりも、より実務的な知識や能力を問う内容です。試験時間130分で65問出題されます。

・ソリューションアーキテクト プロフェッショナル(上級レベル)
目安として、2年程度のAWS実務経験と業界知識が求められます。試験時間180分で75問が出題されます。AWSの運用・管理、クラウドアーキテクチャの設計とデプロイについて実践的な知識を問う内容となります。
参照:https://aws.amazon.com/jp/certification/

まとめ

DX推進におすすめの資格を、DX人材の職種別にご紹介しました。資格を必ず取らないとDXが進められないわけではありませんが、資格の勉強をすることで、知識やスキルが身に着くことは確かです。日本では、海外に比べて、社会人になってからも学習を継続的に行う人が少ない傾向にありますが、仕事をしていくなかで業務に必要な知識をアップデートしていくことは、全ての日本のビジネスマンに必要なことではないでしょうか。
また、DXとは、それまでのビジネスモデルを大きく変革することです。DX推進していくにあたって、それまで社員が経験したことのない壁にぶち当たることもありますが、あらかじめ知識を蓄えておくことで、スムーズに対応できることも増えるでしょう。企業としてDXを推進していくなら、社員のスキルアップとして、今回の記事でご紹介した資格取得の支援を行うのもひとつの方法です。

企業のDX研修や社員の学習支援におすすめ「キノクエスト」

社員の学びを促進するには、勉強を始めやすい環境作りも大切です。業務が忙しい社員にとって、隙間時間で勉強をするのはなかなかハードルが高いもの。
そんなときは、オンラインで気軽に、空いた時間で学べる仕組みを取り入れるのがおすすめです。
「キノクエスト」は、YouTubeチャンネル登録者数16万人を誇るキノコードが監修した、Pythonのオンライン学習サービスです。プログラミング未経験者にも始めやすく、将来性もあって人気の言語、Pythonが学べます。
動画を見て問題を解くスタイルなので、隙間時間で楽しく学べて、アウトプットすることで知識が定着しやすい仕組みになっています。
DX人材として活躍するには、今ある知識だけでなんとかしようとしても、限界があります。Pythonを使えば、既存の業務の効率化なども可能になりますので、DX推進において、「キノクエスト」で身に付けた知識はきっと役立つでしょう。
ぜひ、この機会に社員の学習支援として、取り入れてみてはいかがでしょうか。

キノクエスト