エンジニアの転職に資格は必要?持っていると有利な資格15選を分野別にご紹介

エンジニアに有利な資格15選
エンジニア転職

基本的にIT系エンジニアの世界では、資格の有無よりも、実務経験の方が重要視されます。また、エンジニアとして就職するために、必ず取らなければいけない資格というものはありません。
ですが、資格を持っていることが、エンジニアの就職や転職に有利に働く場合もあります。
今回は、転職を考えているエンジニアにおすすめの資格15選を、エンジニアの分野別にご紹介します。

この記事の執筆・監修

キノコード
キノコード    

テクノロジーアンドデザインカンパニー株式会社のCEO。
日本最大級のプログラミング教育のYouTubeチャンネル「キノコード」や、プログラミング学習サービス「キノクエスト」を運営。
著書「あなたの仕事が一瞬で片付くPythonによる自動化仕事術」や、雑誌「日経ソフトウエア」や「シェルスクリプトマガジン」への寄稿など実績多数。

エンジニア資格の分類

エンジニアの資格の分類は、国家資格、ベンダー資格、ベンダーニュートラルな資格の3種類があります。

国家資格

国が認定する資格としては、経済産業省所管の独立行政法人「IPA」が行っているITパスポートや、基本情報技術者試験などがあります。試験の内容としては、一般的なITに関する知識を問う問題が出題されます。受験料はベンダー資格に比べると安い傾向にあります。
資格の有効期限がないため、一度取得すれば時間が経っても履歴書に記載できるのがメリットです。ただし、出題範囲は広いため、取得するためにはそれなりの勉強時間の確保が必要となるでしょう。

ベンダー資格

シスコやマイクロソフトなどの製品ベンダーが認定する資格です。自社の製品についての技術や知識を問う試験内容になります。CCNA、AWS認定ソリューションアーキテクト アソシエイトなどがあります。
ベンダーは製品のアップデートを定期的におこなうため、ベンダー資格には有効期限が設けられている場合があります。そのため、何年も前に取得したベンダー資格だと、履歴書に記載してもアピールにならないケースもあります。また、受験料は国家資格よりも高めです。
また、そのベンダーの製品を、自分が働きたい会社が使っていなければ、資格が評価に繋がりませんので、注意しましょう。

ベンダーニュートラルな資格

一般社団法人、非営利団体などが中立的な立場で認定する資格がこれに含まれます。内容としては、IT技術に関するものや、特定のベンダーとは関係しない情報処理技術に関するものなどです。
資格の数はベンダー資格よりも少なく、Linux技術者認定試験や、Ruby技術者認定試験などがあります。試験では、より実務に近い内容が出題されます。
なかには難易度の高い資格もあるため、持っていると転職の際に有利に働きます。

エンジニアが資格を取得するメリット

前提として、エンジニアは基本的に実務経験重視であり、資格の有無で仕事が決まるわけではありません。
ですが、経験が浅いエンジニアの場合、履歴書や職務経歴書に書ける実務経験がどうしても少なくなってしまいます。そのため、経験の少なさを補填する意味でも、資格を持っている人は持っていない人と比べると高評価になりやすいと考えられます。
資格取得のためには勉強が必要ですので、資格を持っていることで、基本的な学習能力や勤勉さを証明することができ、同じレベルの資格を持っていない人と比べた時に、有利になる場合があります。

一方、経験の長いエンジニアの場合は、経験内容が重視されるため、よっぽど難しい資格でない限り、資格の有無で書類が通りやすくなるということは基本的にはありません。
ですが、IT業界では常に新しい技術を取り入れる柔軟性が求められるため、経験が豊富でも継続的に学習していることは、勤勉さなどの人柄について高評価に繋がる可能性が高まります。

採用担当者は資格があるから評価するわけではない

企業の採用担当者は、資格を取ることそれ自体よりも、なぜその資格を取ろうと思ったのかという動機の方を重要視しています。選考の際は、難しい資格をたくさん持っているエンジニアだからといって、必ずしも評価が高くなるわけではなく、キャリアの方向性をしっかり考えて、自分が進みたい道を意識して行動しているかどうかを見ています。
そのため、転職活動では、自分のエンジニアとしてのキャリアをどうしていきたいか、よく考えることが大前提となります。その上で、その方向に向かって努力していることの証明として、キャリアに役立つ資格を取ることが、結果的に採用の際の評価にも繋がっていきます。

エンジニアが持っておくと転職に有利な資格をご紹介

エンジニアが取得しておくと転職に有利な資格を、分野別にご紹介します。
ご自身のエンジニアとしての方向性を固めた上で、資格取得を検討する際の参考にしてください。当然ながら、誰でも受かる簡単な資格よりも、ある程度の勉強時間を割かないと取れない、難易度の高い資格の方が、客観的評価は高くなります。

開発系エンジニアにおすすめの資格

WebサービスやIT製品のシステム設計や開発を行う、SEやプログラマーにおすすめの資格です。エンジニアの登竜門として取っておきたい基本的な資格や、Webサービスの開発でよく使われる言語についての技術や知識を認定する資格があります。

プログラマー

・基本情報処理技術者
情報処理推進機構(IPA)が認定する国家資格で、エンジニアの登竜門として最初に取得しておきたい資格です。情報技術に関する基礎的な問題から、実践的な能力の有無まで問われます。プログラマーだけでなく、SEやインフラエンジニアなどを目指す人も含めて、情報技術の基本的な考え方が学べます。持っていないなら早めに取っておくと良いでしょう。

・Ruby技術者認定試験Silver・Gold
Ruby Associationが認定するベンダーニュートラル資格です。基礎的な内容が出題されるSilverと、実務的な開発能力を問われるGoldがあります。Rubyは日本人が開発した言語で、日本のサービスでよく使われていますので、取得すればRubyエンジニアとしての一定の技術力の証明になります。

・PHP技術者認定試験
PHP技術者認定機構が実施しているベンダーニュートラル資格で、初級・上級・認定ウィザードの順に難易度があがっていきます。最上級資格のウィザードは、論文またはコードを提出して審査する形式です。PHPの技術者の数は非常に多く、PHPで作られているWebサービスもたくさんあるため、難易度の高いレベルを取得しておけば、他の人との差別化になり一定の評価に繋がります。

・Javaプログラミング能力認定試験
サーティファイ情報処理能力認定委員会が実施するベンダーニュートラル資格です。取得することで、Javaやオブジェクト指向についての知識が身についていることの証明になります。
3級~1級の順に難易度が高くなっていきます。Javaプログラミングに関する上級知識が求められる1級は特に難易度が高く、持っていると高評価に繋がりやすいです。試験は実技方式となり、総合的な能力が必要となります。

システムエンジニア

・応用情報技術者
IPAが実施する国家資格です。基本情報処理技術者の上位資格に位置付けられます。
ある程度の実務経験を積み、IT技術や企業活動についての深い知識を持つ人を対象者としています。
出題は技術分野だけでなく、マネジメントや戦略分野まで、広範囲にわたりますので、しっかり勉強する必要があります。SEとして活躍していきたい人は、この資格を取っておけば、知識の証明になりますし、実際の業務にも役立つでしょう。

インフラ系エンジニアにおすすめの資格

ネットワークエンジニアやサーバーエンジニアなど、インフラ系エンジニアを目指す人におすすめの資格をご紹介します。

ネットワークエンジニア

・CCNA(Cisco Certified Network Associate)
世界的なネットワーク関連機器メーカーの、シスコシステムズが実施する、ベンダー資格です。ネットワークエンジニアとしての技能を認定する資格として最も有名です。
「エントリー」から「アーキテクト」まで6つのグレードがあり、なかでもポピュラーなのが「アソシエイト」という上から4番目のグレードです。
資格は取得後、3年で失効してしまうため、3年以内に同レベル以上の試験に合格し、資格を更新しなくてはなりません。資格を維持するためには、定期的に勉強することになるため、最新の知識を身に付けられる仕組みになっています。それゆえ、この資格を持っていることは、ネットワークエンジニアの即戦力とみなされることに繋がります。

サーバーエンジニア

・LPIC(Linux Professional Institute Certification)、LinuC(Linux Professional Certification)
Linuxの技術力を認定するベンダー資格で、Linuxシステムの構築・運用・保守の技術力を問う内容が出題されます。
LPICとLinuC の2つの資格の違いですが、LPICは世界基準で昔からある資格のため認知度が高いのに対し、LinuCは日本のLinux市場に最適化した内容で、比較的新しい資格となっています。それぞれレベルが3段階に分かれており、レベル1は初心者、2は中級者、3は上級者という位置付けです。履歴書に記載するなら、レベル2以上を取ることをおすすめします。
レベル1とレベル2では、2種類の試験があり、同時受験でなくても良いですが、5年以内に2つとも合格しなければなりません。また、下位レベルをクリアしないと上位レベルが受験できません。レベル3では、分野別に3つの種類に独立した試験となっています。資格の有効期限はないですが、認定ステイタスがあり、取得から5年を過ぎると資格の有意性が薄れるため、維持するためには再受験か上のレベルに合格する必要があります。

・AWS認定ソリューションアーキテクト アソシエイト
AWSの資格は全部で12種類あり、基礎、中級(アソシエイト)、上級(プロフェッショナル)と専門分野の資格に分かれます。
このうち、転職活動のアピールになるのはアソシエイト以上です。最低1年程度のAWSの使用経験が必要になるため、業務での利用経験があるなら、AWSを扱えるエンジニアの証明として、取得しておくと良いでしょう。Netflix、Facebookなど世界的な有名企業を始めとして、今や日本でも数多くのサービスで利用されているAWSは、今後もますます需要が高まると考えられます。そのため、正しい知識を持ってAWSを扱えるエンジニアは重宝されます。

データベースエンジニア

・データベーススペシャリスト
IPAが認定するデータベース技術に関する国家資格です。対象者はデータベースの全体計画や要件定義、分析・設計、実装・テスト、運用・管理を行う技術者で、合格率は約15%と、国家資格の中でも難易度が高い資格となっています。そのため、取得するには勉強時間をしっかり確保することが大切です。
資格取得を通して、データベースに関する知識だけでなく、データベースソフトについてなど様々な知見が身に付きます。
難易度が高いだけあって、転職の際には高レベルでデータを扱えるエンジニアとしてアピールすることができます。

・ORACLE MASTER
日本オラクル社が実施するベンダー資格で、試験内容はオラクルデータベースの運用・管理や、SQLの習熟度を問う問題となります。
「ブロンズ」→「シルバー」→「ゴールド」→「プラチナ」の順に難易度が上がります。
ブロンズを除いて、下位レベルを飛ばして上位レベルを受けることができません。オラクルの実務経験が全くない場合、ブロンズでも取得が難しい資格ですが、実務でオラクル製品を扱った経験があれば、シルバーより上を取得すると転職の際に技術力をアピールできるでしょう。
資格に期限はありませんが、他のベンダー資格同様、取得から年数が経つと知識が古くなるため、更新のための移行試験が用意されています。

セキュリティエンジニア

・情報処理安全確保支援士試験(SC)
IPAの国家資格で、サイバーセキュリティについての実践的な知識や技能を問う問題が出題されます。この分野の国家資格としては最高難度で、合格率は約18%です。
試験に合格した後、情報処理安全確保支援士を名乗るためにはIPAに登録申請する必要上がります。また、定期的に講習を受けなくてはならず、維持費用もかかります。
少しハードルが高い資格ではありますが、弁護士などと同じく士業になりますので、希少価値が高く、履歴書に書くことで転職活動が有利に働きます。
サイバー攻撃が増加傾向にある昨今では、どの企業も情報セキュリティの強化は避けて通れない課題となっています。難易度の高い資格ですが、IT人材不足の日本でこの資格を持っている人材は少ないため、取得できれば高年収のオファーが来る可能性もあります。

AIエンジニア・データサイエンティストにおすすめの資格

AI技術の需要が増加している一方で、AIエンジニアやデータサイエンティストは、その他のIT人材と同じく不足している状況です。
一方で、AI人材を確保するという政府の方針もあり、大学や専門学校でデータサイエンスを基礎から学んだ若手が増えてきています。AIエンジニアには高度な専門知識が求められますので、異業種からのキャリアチェンジなどでAIエンジニアを目指す場合、中途半端な経歴や知識しかないと、生き残っていけない恐れがあります。
現場で育成するのが難しい場合も多いため、スキルや経験がある即戦力が求められる傾向にあります。経験豊富な場合は必要ないかもしれませんが、そうでない場合、経験の浅さを補う意味でも、資格取得を検討してみましょう。

・Python3 エンジニア認定基礎試験、Python 3 エンジニア認定データ分析試験
一般社団法人Pythonエンジニア育成推進協会が実施・認定しているベンダーニュートラル資格です。基礎試験は、Pythonを正しく利用するために必要な知識やスキルを問う内容です。
データ分析試験は、Pythonを使ったデータ分析についての知識を問う問題が出題されます。ライブラリに関する内容など、よりデータサイエンス寄りの試験となっています。
どちらも難易度はそれほど高くなく、Pythonをすでに業務で使っているエンジニアなら取得できるレベルです。基礎的なスキルの証明として、取得するなら両方取っておくと良いでしょう。

・G検定(ジェネラリスト検定)
一般社団法人日本ディープラーニング協会が実施する、ベンダーニュートラル資格です。ジェネラリストとは、人工知能やディープラーニングに関する技術と、それをどうやってビジネスに活用するかを理解し、橋渡しをする役割のことです。
試験内容としては、人工知能やディープラーニングに関する基礎的な問題が出題されます。難易度はそれほど高くないため、AIに関する基本的な知識やスキルを証明する資格として、取っておいて損はないでしょう。

・E資格
ディープラーニング協会が実施する資格で、G検定の取得後に取る人が多くなっています。エンジニアとして、ディープラーニングの理論を理解し、実装まで行える人材育成のための資格で、G検定よりも難易度が高くなります。また、受験資格として、ディープラーニング協会の認定プログラムを受けて修了している必要があります。この認定プログラムは様々な内容がありますが、5万円~70万円と基本的に高額で、プログラムの受講費と資格の受験費用の両方かかります。取得する場合、費用がある程度発生することを認識した上で臨みましょう。

・統計検定
一般社団法人統計質保証推進協会が実施する検定で、レベル別に4〜1級に分かれています。
難易度はレベルにより大きく変わります。4級は中高生レベル、1級は専門的な勉強が必要で合格率20%以下と、かなり難しい試験となっています。
このうちAIエンジニアが取るべきレベルは、2級から準1級です。専門書などでしっかり学習して臨む必要がありますが、持っていれば大学で学ぶレベルの統計学の知識を証明できる資格です。
AI開発においては、統計学を利用する場面があるので、AIエンジニアやデータサイエンティストを目指すなら、統計学を学んでおけば実務で活かせることがあります。
なお、2021年から、データサイエンスに特化した検定が追加されました。
基礎、発展、応用と3つのレベルに分かれています。基礎以外の検定はまだ実施されていないため、合格率は不明ですが、データサイエンティストを目指す人にとって注目の資格です。

エンジニア全般におすすめの資格

TOEIC

分野を問わず、全てのエンジニアにおすすめなのがTOEICでハイスコアを取ることです。会社によってはTOEICの点数が一定以上だと、資格手当が出るケースがあります。
目安として800点以上取れれば、転職活動をする際の履歴書や面接でも高評価されるでしょう。
また、英語で書かれた海外のWEBサイトや論文を読めるようになると、いち早く最新情報を入手することができます。コードを書いていてエラーが出たときに、英語で検索できれば大体のことはすぐに解決するといったメリットもあります。

エンジニア資格に関するまとめ

エンジニアにとって、資格は必須ではありませんが、知識の裏付けや努力の証として取得するメリットはあります。
ご自分のエンジニアとしての方向性にマッチした資格なら、学習を通して知識が体系的に身に付きますし、取得した理由を面接や経歴書などでしっかりと説明できれば、転職活動にも役立ちます。
エンジニアにとって、学習を継続することは大切です。忙しい中でも隙間時間を見つけて学習することで、キャリアアップを目指しましょう。

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