コロナ禍におけるエンジニア転職【市場動向やキャリア戦略を解説】

IT業界の技術の進歩は早く、さらに現在はコロナの影響で社会全体の仕組みも変わりつつあります。
ではこのような変化に富む環境において、エンジニアはどのようにキャリア戦略を立てればよいでしょうか。
エンジニアの転職市場の動向とともに考えていきたいと思います。
最後にお勧めの転職サービスもご紹介していますので是非チェックしてみてください。

コロナ禍におけるエンジニアの転職市場の動向

まずエンジニアの転職市場の動向について確認しましょう。
データを中心にみていきましょう。

エンジニアの需要は引き続き高い

IT人材の需給のギャップは今後も拡大し続けることが予想されています。
そのため、エンジニアの需要は引き続き高い状況が続く見込みです。
実際にデータをみていきましょう。
政府の試算によると、IT需要の伸びが高位であった場合、2030年に79万人のIT人材が不足すると予測されており深刻な状況です。
平成 30 年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備- IT 人材需給に関する調査 -

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求人倍率でも、この状況は顕著に表れています。
dodaの転職求人倍率レポートによると、2020年11月の求人倍率(【算出式】転職求人倍率 = 求人数(採用予定人数)÷ 転職希望者数)は5.2です。
コロナの影響で2020年度以降で落ちこみが見られるものの、他の業種と比較すると求人倍率が依然として大きいことが分かります。
さらには、2020年から小学校でプログラミング学習が必修化します。
国としてもIT人材の確保に向けて対策を進めていますが、少なくとも今後10年はエンジニアにとっては売り手市場が続く私は予想しています。

企業のエンジニア対する需要は量から質へ

一方で採用を行う企業側のニーズは、徐々に量から質へとシフトしてきています。
エンジニア需要の高まりを背景に、プログラミングスクールやプログラミング学習サービスが勃興。他業種や未経験からエンジニアに転入する人も増加しました。
さらには、2019年度までは好景気だったこともあり実務未経験可の求人も多く存在していました。
しかし、2020年度に入り未経験や経験の浅いエンジニアの採用ハードルは上がり、即戦力として活躍が期待される経験豊富なエンジニアを企業側が求める傾向が強くなっています。
コロナによる先行き不安で、採用活動に慎重になっている企業も多く、この傾向が一層顕著なものとなってきています。
以下の通り転職サイトにおける求人数の推移を見ても明らかです。

エン・ジャパンの転職サイト「エン転職」では、未経験者歓迎とする求人案件が4月以降、減少している。全体に占める割合が9月中旬で52.7%となり、前年同月比20.3ポイント減った。2月には80%まで上昇していた。
一方、即戦力となる経験者の求人は活発だ。エン・ジャパンの35歳以上を対象とした転職サイト「ミドルの転職」の案件数は前年同月を上回る推移が続く。
出典:日経転職版

エンジニアの転職で重要なキャリア戦略について

以上が、エンジニアの転職市場の動向をデータから読み解いていきました。

(1)エンジニアの需要は引き続き高い
(2)ただし、企業のエンジニア対する需要は量から質へ変わってきている
ということがデータから読み取れたと思います。
では、エンジニアのキャリア戦略はどのように立てていけばよいでしょうか?

エンジニアは業種・職種による年収格差が大きい

エンジニア全体では平均年収は上昇傾向にありますが、業種・職種によって平均年収が大きく異なることはご存知でしょうか?

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具体的に職種別の平均年収を見てみると、プロジェクトマネージャは891.5万、高度SE・ITエンジニア(基板設計担当・ITアーキテクト)は778.2万円、SE・プログラマ(ソフトウェア製品の開発・実装)は568.5万、インターネット関連企業における顧客サポート/ヘルプデスクは390.9万と、一言でエンジニアと言っても待遇に大きな違いがあることが分かります。
それぞれ求められるスキルや経験が異なり、職種によっては、その習得に多くの時間を要します。
そういった点を考慮すると、長期的なキャリア戦略をしっかりと立てておくことが重要になってきます。

エンジニアのキャリア戦略の立て方

ではエンジニアとして市場価値を高め、希望する業界・職種に就くためには、どのようなキャリア戦略を立てれば良いでしょうか。

明確なゴールがある場合

エンジニアとして今後目指すゴールが決まっている人は、現在地とゴールとのギャップを理解し、そのギャップをどのようにして埋めていくかが重要になります。

現在地とゴールのギャップを理解するために、ギャップ分析を行いましょう
ギャップ分析では、現在地とゴールを明確にすることが重要です。
これにより両者のギャップがどのくらいか把握し、改善すべき課題が何かを判断することができます。
次にWill Can Mustのフレームワークを使い、ギャップをどのようにして埋めて行くか考えましょう。

  • Will・・・将来的に実現したいこと
  • Can ・・・現時点でできること
  • Must ・・・今後やらねばいけないこと

目指すゴール(=WILL)に対して、現在地(=CAN)を自覚し、今後やらなければいけない課題(=MUST)を自らに設定することで、効率的にゴールとのギャップを埋めていくことができるようになります。

明確なゴールがない場合

一方でエンジニアとして明確なゴールが決まっていない人でも、キャリアをポジティブな方向に向かわさせるために意識すべきことがあります。
それが「計画された偶発性理論」に基づく、以下の5つのスタンスです。

  1. 好奇心:新しい学習機会の模索
  2. 持続性:失敗に屈せず努力
  3. 柔軟性:今の信念に固執しない
  4. 楽観的:困難もポジティブに
  5. 冒険心:結果が不確実でも行動

特にエンジニアとしての経験が浅い内は、ゴールを明確に定めることが難しいかと思いますが、上記のスタンスを意識しながら努力を続けることが重要になります。

自己効力感が高い、もしくは高められるキャリアを選ぶ

自己効力感とは自分の行動に対しての確信を表し、キャリア選択において重要な指標になり得ます。
というのも自己効力感が高いと、困難に直面した際も「自分ならできる」という確信を持って乗り越えていくことができるため、キャリアをぶれずに築いていきやすくなるのです。
自己効力感は以下の5つの方法により高めることができ、これらが高いもしくは高められるキャリア選択を行いましょう。

  1. 直接的達成経験:「実際の自分の成功事例」
  2. 代理経験:「他者の成功事例から学ぶ」
  3. 言語的説得:「他者からの励まし、説得」
  4. 情動的喚起:「メンタル」
  5. 想像的体験:「想像、妄想による成功体験」

キャリア戦略を定期的にアップデートする

取り巻く環境や自分自身の変化に応じて、キャリア戦略を定期的にアップデートしましょう。
IT業界は技術の進歩が早くエンジニアとして求められるスキルも時代によって変わっていきます。
特に現在はコロナの影響で社会全体の仕組みも変わりつつあり、変化に応じてキャリア戦略をアップデートし軌道修正していくことはエンジニアにとって必須と言えるでしょう。

コロナ禍におけるエンジニアの転職活動について

最後にキャリア戦略に基づき、具体的にどのように転職活動を進めればよいか、お勧めの転職サービスとともにご紹介させていただきます。

自身の状況に応じて転職サービスを使い分ける

エンジニアの転職活動において使うことができる転職サービスは大きく4つに分類することができ、自身の状況に応じて使い分け、もしくは併用しましょう。

能動的に転職活動を進める場合、転職エージェントと転職メディアを活用することになります。
転職エージェントはキャリアアドバイザーが全面的に転職をサポートしてくれるのに対し、転職メディアは求人の検索・応募、応募後のスケジュール管理などを自分で行うため、自分のペースで転職活動を進めることができます。
おすすめは転職エージェントと転職メディアの併用です。
転職エージェントを使って効率的に転職活動を進めながら、転職メディアで志望する業界・職種の求人を検索し、求められるスペックや年収の相場観を把握するとよいでしょう。
また転職エージェントについてはキャリアアドバイザーに当たり外れがあるので、複数の転職エージェントに登録することをおすすめします。(どうしても合わないと感じた場合は担当の変更を申し出ることも可能です。)