未経験からのエンジニア転職は30代以降になると苦戦することが多くなります。
ただし強い覚悟をもって挑めば、30代後半からでも転職は可能です。
そこで今回の記事では、30代後半未経験からエンジニアを目指すことの難しさに加え、どのようにすれば転職を成功させることができるかについて説明していきたいと思います。
なお未経験からエンジニアを目指す人は次の記事も併せてチェックしてみてください。
この記事を補足する内容になっており、未経験からエンジニアになるために必要な情報が詰まっています。
30代後半未経験からエンジニアに転職するのが難しい理由
なぜ30代後半未経験からエンジニアに転職するのが難しいのか。
それにはたくさんの理由があります。
- 30代後半は即戦力が求められる
- 30代後半未経験はポテンシャルが低いとみなされる
- 年上の部下は扱いづらいと思われている
- 技術のキャップアップが難しくなってくる
- 年齢制限で応募できる求人が限られる
- 年収が前職から大幅に下がる
30代後半は即戦力が求められる
企業が30代後半に求めるのは即戦力としての活躍です。
以下のグラフはエン・ジャパンが「ミドルの転職」上で行った転職コンサルタントへのアンケートです。
ミドルの転職者に対して採用企業が一番期待しているのは「経験職種での専門知識・専門スキル」になります。
▼異業種からのミドルの転職者に対して、”採用企業が期待するもの” は何ですか?
(出典:エン・ジャパン2020年「ミドルの異業種転職」実態調査―『ミドルの転職』コンサルタントアンケート―)
つまり、30代後半のエンジニアであれば、専門性を持った即戦力であることを期待されています。
したがって、30代後半のエンジニア未経験は、転職市場のニーズから低いと考えられます。
エンジニア未経験は20代の候補者が優先される傾向
IT業界は目まぐるしいスピードで進歩していきます。
エンジニア未経験の採用において採用側が求めるのは、こうした環境下で成長し活躍できるポテンシャルを備えた人材です。
成長のポテンシャルとして考慮される、変化への順応性、思考の柔軟性、体力などは若ければ若いほど期待できます。
したがって、こうした観点からスペックが大して変わらなければ、30代よりも20代の候補者が優先的される傾向にあります。
年上の部下は扱いづらいと思われている
年上の部下は指導がしづらい、接し方が分からないといった理由で扱いづらい印象を持たれることが多いです。
特にIT業界は他の業界と比較して平均年齢が低いです。
厚生労働省による2019年の賃金構造基本統計調査によると、プログラマーの平均年齢は33.8歳となっています。
これは全職種の中でもトップクラスの平均年齢の低さです。
ベンチャー企業であれば、社員の平均年齢が20代であることも珍しくありません。
こうした平均年齢の低い企業に、30代後半の未経験が入社したらどうなるでしょうか。
一回りも年齢の下の社員が上司につくことになるかもしれません。
上司の立場になり考えると想像できるかもしれませんが、大きく年齢が上の部下を持つやりづらさはどうしても生じてしまいます。
このような理由で平均年齢の低いIT企業において、30代後半の未経験者の採用は敬遠されがちです。
技術のキャッチアップが難しくなってくる
30代後半から勉強を始め、その後も新しい技術にキャッチアップし続けていくのは大変です。
実際にIT業界においては「プログラマー35歳限界説」が昔から語られてきました。
これはプレイヤーとしてのキャリアを35歳で区切るべきこと、それ以降はプレイヤーから管理職などにキャリアップすべきことを述べています。
なぜ35歳かというと、新しい技術にキャッチアップなど年齢があがるとともに大変になるからです。
というのも、私自身40歳を超えてから感じてるのは、記憶力や学習能力、体力が衰え始めます。
また、結婚、出産、子育てなどのイベントが入ってくると、自分の時間を持ちにくくなります。
もちろん少子高齢化やIT人材不足で、現在は「プログラマー35歳限界説」は現実的な説とは言えません。
しかし、一方で上述の理由により、年齢があがるとともに新しい技術のキャッチアップなどが難しくなる方が多くなる傾向にあります。
年齢制限で応募できる求人が限られる
企業が30代後半の未経験もしくは経験の浅いエンジニアを求めていないことは、多くの求人に設定してある年齢制限からも読み取れます。
▼実際の求人例①
▼実際の求人例②
(出典:リクナビNEXT)
仮に求人に年齢制限を明記していなくても、企業が転職エージェントに30歳以上は推薦しないよう伝えている場合もあります。
そのため30代後半からの応募できる求人はかなり限られてきます。
年収が前職から大幅に下がる
未経験の場合、年収は200万台~300万台からのスタートになります。
最近はプログラミングスクールの広告などの影響で、高年収なエンジニアのイメージが蔓延しています。
ただ実際はエンジニアになれたとしても、すぐに高年収を稼げるわけではありません。
努力次第ですが、少なくとも数年は前職の年収を大きく下回ることになるでしょう。
30代後半未経験からエンジニアに転職するのは不可能?
ここまで30代後半未経験からエンジニアを目指すことについて、厳しい現実を述べてきました。
ただ30代後半未経験からエンジニアに転職する人が全くいないかというとそうでもありません。
エン・ジャパンが「ミドルの転職」上で行った転職コンサルタントへのアンケートを見ても、異業種転職を実現したミドルの転職先は「IT・インターネット」業界が多いことが分かります。
▼異業種転職を実現されたミドルの転職者は、どのような業種への転職が多いですか?
また異業種転職を実現したミドルの転職先の職種に関しても、技術系(IT・Web・通信)が上位に食い込んでいます。
▼異業種転職を実現されたミドルの転職者は、どのような職種の方が多いですか?
(出典:エン・ジャパン2020年「ミドルの異業種転職」実態調査―『ミドルの転職』コンサルタントアンケート―)
このようにミドルのIT業界への転入は多く、実際に30代後半からエンジニアとしてのキャリアをスタートしている人も存在します。
IT業界は深刻なIT人材不足により、エンジニアの需要が今後も高く推移する見込みです。
実際にIT業界の求人倍率をみてみても、他の業種と比較してかなり高い状況が続いています。
エンジニアの転職市況については以下の記事で詳しく解説していますので確認してみてください。
>>コロナ禍におけるエンジニア転職
こうした転職市況の背景もミドルの異業種からのIT業界への転入を後押ししています。
30代後半未経験からエンジニアに転職するために必要なこと
ミドルから異業種への転職を成功させる人がいることは以上のアンケート結果から確認できました。
では実際に35歳未経験からエンジニアに転職を成功させるために必要なことは何でしょうか?
これには以下の3つを上げることができます。
逆に言えば、以下の3つが無ければ30代後半未経験からエンジニアになるのはかなり難しくなります。
- エンジニアになる強い覚悟を強く持つ
- 前職の経験を武器にする
- 再現性のある成功体験をアピールする
エンジニアになる強い覚悟を強く持つ
30代後半未経験からの転職を成功させる難易度は非常に高く、強い覚悟が必要になります
近年は給料が高い、柔軟な働き方ができるなど、エンジニアの良い面のみが切り取られ普及している印象です。
ただ未経験から数か月でこれらを手に入れられるわけではありません。
ゼロからスキルや業界知識を身につけ転職するのは簡単なことではありません。30代後半からだとなおさらです。
なぜ簡単ではないか?
それは、プログラミングは数日に身につけられるわけではありません。
プログラミング学習を業務外で数ヶ月続けていくこと。
プログラミング学習が終わったら転職活動に必要なポートフォリオを作成すること。
ポートフォリオの作成で発生してくるエラーと向き合うこと。
またエンジニアになった後も、向上心を持って学習を続けていく必要があります。
などなど。
こうした大変さを乗り越えエンジニアに転職するためには強い覚悟を持たねばなりません。
前職の経験を武器にする
前職の経験をエンジニアとして働く上で強みにできることを、企業にアピールすることが重要です。
例えば前職で営業をしていたとします。
クライアントとの良好な関係を築きあげたコミュニケーション能力、お客様の課題に対して提案力、売上を作ってきた実行力、そういった能力はアピールするための材料になります。
再現性のある成功体験をアピールする
過去の成功体験も転職時の強みになります。
成功体験は、粘り強く試行錯誤を繰り返し、たくさんの困難を乗り越えた結果として得られるものです。
その過程で必要となる粘り強さや問題解決能力はエンジニアとして働く上でも重要です。
候補者の成功体験の再現性が高ければ、採用側は入社後の活躍を期待することができます。
30代後半未経験からエンジニアになるための転職活動の進め方と注意点
ここまで以下を述べてきました。
上記を理解した上でエンジニアを目指すことを決心したのであれば、早速準備に取り掛かりましょう。
未経験からエンジニアになるための方法は以下の記事で詳しく説明しています。
>>未経験からエンジニアになれる?事前に知っておくべき内容を解説します
またこの記事の内容に沿って転職活動を進めるにあたり、30代後半の人は以下の点も注意するようにしましょう。
謙虚な姿勢を持つ
これは転職した後もそうですが、謙虚な姿勢を持つことが重要です。
プログラミング学習や転職準備でさまざまな人に質問や相談をすることになると思います。
また入社後も分からない点は先輩や上司に都度質問することになります。
30代後半だとこうした質問や相談をする相手の多くは年下になります。
年上だからと言って横柄な態度を取っていると、誰も相手をしてくれなくなります。
エンジニアの世界は特にスキルや経験がものをいいます。
30代後半であっても最下層からのスタートになるので、常に謙虚に学ぶ姿勢を取るように心がけねばなりません。
会社選びで妥協をしすぎない
30代後半未経験だと応募できる企業はかなり限られてきます。
そのため条件面に関する不満には、ある程度目をつむることが必要です。
ただ一方で条件面に妥協をしすぎないよう注意することも必要です。
入社した企業があまりにもブラックであれば、思うようにスキルアップできなかったり、体を壊して早々に退社することになりかねません。
30代後半でまた一から転職活動をスタートするとなると、状況は一層厳しくなります。
最低限死守したい条件については、転職前にしっかりチェックしておくようにしましょう。
家族や周囲の理解を得る
給与や役職などが現状から大幅ダウンになる前提で、あえてリスクを犯して未経験の職種に転職することになります。
これには当然、家族など周囲の理解も必要になってきます。
相応の覚悟があること、将来の展望について、きっちり説明できるようにしておきましょう。
【まとめ】30代後半未経験からのエンジニア転職は難しいが可能
実際に30代後半でIT業界に転入し、エンジニアとして働いていらっしゃる方もいらっしゃいます。
こうした事実からも、30代後半未経験からエンジニアになることは無理ではありません。
ただし難易度は非常に高く、転職を成功させるためには強い覚悟が必要になります。
またエンジニアになった後も、プライベートの時間の大半を学習に費やす必要があります。
転職後、最初は現場で付いてだけでも大変です。
分からないことは業務外でキャッチアップし、さらにスキルアップのために学習をしなければなりません。
プログラミング学習を楽しめる人でなければ転職後に苦しむことになるでしょう。
もし30代後半からエンジニアを目指すのであれば、上記の内容を理解した上で挑戦するようにしましょう。