はじめに
こんにちは。
キノコードです。
RAGの動画はご覧になりましたか?
RAGの技術を使えば、生成AIをカスタマイズできます。
そして、もう1つ生成AIをカスタマイズできる技術が、「ファインチューニング」です。
この動画は、次のような疑問を解消します。
- ファインチューニングって何?
- RAGとの違いは何?
- ファインチューニングのやり方や注意点は?
この動画では、これらの疑問をわかりやすく解説します。ファインチューニングを知ることで、生成AIをもっと自分の仕事に活かしていきましょう!
ITやDXについての学びを発信する「キノコード」です。
私は紀貫之の子孫ですが、文章ではなくコードを書いているので「キノコード」と名乗っています。
ぜひ、チャンネル登録をお願いします。
ファインチューニングとは
ファインチューニングは、「Fine-tuning」と書きます。
Fineとは、「細かい」「精密な」という意味。
Tuningとは、「調整」「整える」という意味。
つまり、ファインチューニングは、あらかじめ学習を終えたAIモデルを細かく調整する技術です。
その結果、企業独自の情報や高度な知識を追加することができます。
ファインチューニングに必要なデータ
ファインチューニングを行うには、学習用のデータが必要です。
まず、「指示文」と「理想的な出力」のペアを用意します。
たとえば、「こういう質問をされたら、こう答えてほしい」という例を多数揃えておきます。
モデルにこのペアを学習させることで、特定のタスクに最適化できるわけです。
プロンプトエンジニアリングを知っている方には、Few-shot promptingを例に挙げるとわかりやすいでしょう。
プロンプト内に質問と回答の例をいくつか入れて精度を上げる方法です。
ファインチューニングではこれを追加学習しておくイメージです。
結果として、プロンプトにわざわざ例を入れなくても、LLMが自動でそのように応答できるようになります。
ファインチューニングの方法
ファインチューニングは、あらかじめ学習を終えたAIモデルを細かく調整する技術だとお伝えしました。
つまり、一度学習が終わったモデル全体を再学習するわけではありません。
ここではファインチューニングの方法を紹介をします。
既存モデルを効率的に活かしながら、新しいデータや要件に対応する方法です。
既存モデルの左の層はそのまま利用し右の層のみを再学習します。
左の層では、基礎的な特徴を学習しており、これを保持することで計算リソースを節約しながらモデルを特定のタスクに最適化できます。
この方法は既存の知識を活用しながら、追加したい分野やタスクに特化する場合に適しています。
この方法を選択することで、目的に応じたファインチューニングが可能になります。
ファインチィーニングの特徴
RAGの動画を見た方なら、ファインチューニングとRAGと何が違うの?と思った方、するどいです。
ファインチューニングの特徴を、RAGとの比較を交えながら解説をしていきますね。
ファインチューニングとRAGの役割は同じです。
つまり、LLMの「最新の情報に追いつけない場合がある」「特定の分野での精度の限界」という課題を解決するという意味では、どちらも似た役割を果たします。
しかし、RAGとファインチューニングにはいくつか違いがあります。
ここでは、その違いを表形式でわかりやすく説明します。
項目 | RAG | ファインチューニング |
---|---|---|
データの更新 | 簡単 | 難しい |
初期コスト | 低コスト | 高コスト |
応答速度 | 遅くなる場合がある | 速い |
特定分野での精度 | データ次第 | 深く特化 |
信頼性 | 根拠を示せる | ブラックボックス化 |
データの更新
まず、データの更新頻度ですが、RAGでは常に最新の情報を取り込みやすい点が強みです。
なぜなら、データベースなどの「外部にある知識」を更新するだけで、新しい情報が即座に反映されるからです。
一方で、ファインチューニングはモデルを再学習させる必要があります。
頻繁な更新には向いていません。
モデルを再学習するには、データの準備やトレーニングにリソースが必要です。
初期コスト
次に、初期コストを見てみましょう。
RAGは既存のモデルに外部情報を追加するだけなので、学習にかかるコストを抑えられます。
特別なトレーニングプロセスを必要としないため、運用開始も早いです。
対して、ファインチューニングでは追加学習を行う必要があり、高い計算リソースや費用が必要となる場合があります。
大規模なデータセットを使う場合、トレーニングコストが数十万円から数千万円に達することもあります。
応答速度
応答速度では、RAGは外部検索を行うため、若干の遅延が生じる可能性があります。
質問に対して関連情報を探すプロセスが加わるためです。
しかし、ファインチューニングされたモデルは、あらかじめデータを学習しているため、検索の手間がなく速い応答が期待できます。特にリアルタイム性が重要な場面では大きなメリットです。
特定分野での精度
特定分野での精度については、RAGでは参照先のデータの質がカギを握ります。質の高いデータをデータベースに追加することでその分野の精度を高めることが可能です。ただしRAGはモデルそのものが学習するわけではなく、外部データを参照する仕組みのため、データの品質や構造に依存をします。そのため、専用性の高い分野や曖昧な質問には限界がある場合があります。
一方で、ファインチューニングでは、特定分野に特化したデータを使モデル自体に学習させるため、さらに深い精度の回答が期待できます。モデルが知識を内部に取り込むことで特定の文脈や専門的な質問に対して、一貫性のある回答が可能になります。
また、曖昧な質問や暗黙の前提を含むケースでも高い精度で対応できる点が大きな特徴です。
信頼性
信頼性では、RAGは「どの情報を参照したか」を明示しやすいという利点があります。
参照元をユーザーに見せることで、回答の根拠を確認できます。
一方、ファインチューニングでは、学習した情報がモデル内部に埋め込まれるため、回答の根拠が不明確になりやすいです。
そのため、ファインチューニングの場合、信頼性を求める場面では注意が必要です。
ファインチューニングの問題点
ファインチューニングは便利な技術ですが、実際に運用する際にはいくつかの問題点があります。
ここでは、「人的リソース」と「計算リソース」の観点で解説します。
人的リソース
ファインチューニングでは、大量の指示文と理想的な出力のペアを準備する必要があります。
これには多くの時間と人的リソースがかかります。
そのため、生成AIを使ってデータセットを作成することもよくあります。
しかし、生成されたデータの質が悪いと学習がうまくいかないことがあります。
計算リソース
事前学習モデルをゼロから作る場合よりは、必要な計算リソースは少なくて済みます。
しかし、RAGやプロンプトエンジニアリングと比べると、大量のデータを学習させる際には、やはり大きな計算リソースが求められます。
そして、その分だけハードウェアやクラウドの利用料などのコストも増加しがちです。
ファインチューニングは、事前学習モデルを自分のニーズに合わせて強化する有効な手段です。
ただし、データ作成にかかる人的リソースや計算リソースを考慮しないと、思わぬ負担がかかることもあります。
つまり、お金と時間がかかるということです。
その点、RAGは、データ更新や計算リソースも抑えられる傾向にあります。
自社の目的やリソースに合わせて、最適なアプローチを検討するとよいでしょう。
なお、昨今はRAGの技術が急速に進歩し、外部検索による遅延が軽減されています。
大規模言語モデル自体の性能が上がったことで、少量データのファインチューニングでは十分な学習量を確保しにくくなっている面もあります。
こうした背景から、RAGを中心に利用する場面が増えています。
まとめ
この動画で学んだことをまとめます。
- ファインチューニングとは、既存のモデルを特定の目的に合わせて細かく調整する方法
- ファインチューニングとRAGの違いは、データ更新のしやすさやコスト、応答速度などにある
- ファインチューニングを行うには、人的リソースや計算リソースが必要で注意が必要
明日から、ファインチューニングの知識を活かして、生成AIをもっと効果的に使ってみましょう!
DX人材育成サービスも個人の学習もキノクエスト
個人のお客様へ
キノクエストでは、プロンプトエンジニアリングの授業。RAGを使った生成AIのカスタマイズの授業。企業独自のLLMが構築できる授業。ノーコードで生成AIアプリを作成できるDifyの授業などがあります。
プログラミング基礎やExcelの授業、高度なものだとデータサイエンスやアプリ開発の授業もあります。
動画ごとに確認問題やキノクエスト限定の認定試験があり、知識の定着を強力にサポート。ログイン後すぐに実践できる環境で、効率的な学習が可能です。
法人のお客様へ
企業向けサービス「キノクエストforBiz」で、DX推進に必要な人材育成をサポートします。YouTubeで培った多彩なコンテンツを活用し、社員のスキルアップを促進。
キノコードの動画を著作権や利用規約の心配なく、安心して社内教育にご利用いただけます。
今ならリスキリング助成金の申請・確定通知を受ければ、キノクエストforBizの料金の60〜75%を国から助成。提携社労士事務所が申請手続きを全面サポートします。
高い費用対効果と助成金の活用で、企業の成長を後押しします。
初回相談は無料です。下記フォームから、お気軽にご相談ください。
https://kino-code.com/contact-form/