【体験談】未経験からエンジニアに転職する方法

未経験エンジニアの転職体験談
エンジニア転職

未経験だけどエンジニアに興味がある。でも何から始めたらいいのかよくわからない。
今回はそんな方に向けて、実際に未経験からのエンジニア転職に成功した方の体験談をお届けしたいと思います。
是非リアルな実体験を参考にしてみてください。

この記事の執筆・監修

キノコード
キノコード    

テクノロジーアンドデザインカンパニー株式会社のCEO。
日本最大級のプログラミング教育のYouTubeチャンネル「キノコード」や、プログラミング学習サービス「キノクエスト」を運営。
著書「あなたの仕事が一瞬で片付くPythonによる自動化仕事術」や、雑誌「日経ソフトウエア」や「シェルスクリプトマガジン」への寄稿など実績多数。

この記事の対象となる読者

  • 未経験からエンジニアへの転職を考えている方
  • エンジニアへの転職活動で具体的に何をすればよいのかわからない方
  • 未経験からのエンジニア転職に不安のある方

1.エンジニア転職の概況

まずはエンジニア転職の概況についてみていきましょう。
経済産業省の調査(2019年3月)によると、2030年のIT人材の供給数は約120万人と予測されています。
これに対し、IT人材の不足数は同年に約79万人に上ると予測され、深刻なIT人材不足が懸念されています。
このことから、ITエンジニアの需要の高まりはこの先数年に渡って衰えることはないと考えられます。

出典元:経済産業省 平成 30 年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(IT 人材需給に関する調査)

現在、IT・通信系企業のみならず様々な企業がIT人材の採用に積極的な姿勢をとっており、人材獲得競争はますます激化しています。
近年では事業会社が自社でエンジニアを雇うケースも増えており、それまでSIer(システムインテグレーター)などに外注していた開発業務を自社で行うという流れも多くみられます。
加えて、昨今のコロナ禍からの回復によって、様々な業界においてITエンジニアの需要はますます高まっているのが現状です。
そして、ここ数年の流れとして、業種を問わず様々な企業がDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進しています。
このこともITエンジニア需要を高めている要因の一つと言えるでしょう。

こうした背景から、ITエンジニアの求人数は近年急伸しており、その他の職種と比べるとその多さは一目瞭然です。

エンジニア求人数推移

出典元:リクルートエージェント

この高需要な現状においては、たとえ未経験であっても十分にエンジニアになるチャンスはあると言えます。
実際にエンジニア経験がなくても採用したいと考える企業は少なくありません。

出典元:HRzine | 57%の企業が実務未経験エンジニアの採用に意欲あり―ミクシィ・リクルートメント

もちろん、未経験からのエンジニア転職は決して簡単なことではありません。
しかし、あなたの努力次第では十分に実現可能です。
では、未経験からエンジニアになるためにはどのような道のりを辿れば良いのでしょうか?
身につけなければならないスキルや、実際の転職活動で重要なことはどういったことでしょうか?

未経験からエンジニアに転身した方のリアルな声を聞いてみました!

2.未経験からのエンジニア転職に成功したAさんの体験談

今回お話を伺うのは、現在エンジニア兼開発リーダーとして自社サービスの開発に携わっているAさんです。

前職ではどんなことをしていましたか?

ファミリーレストランのストアマネージャーとして複数の店舗運営をしていました。
実際に厨房に入って業務をすることもありました。

エンジニアに転職しようと思ったきっかけは?

当時ファミリーレストランでの勤務をいつまで続けられるのだろうかという不安を持っていました。
将来のビジョンも見えず、肉体的にも給与的にも今のまま仕事を続けていくのは難しいと感じていました。
そんな時に、古くからの友人と話す機会があったんです。
私は日本酒の利き酒師の資格を持っているのですが、その友人が日本酒関係のサービス立ち上げに際してWEBサイトを作成してほしいと私に声をかけてくれました。
サイト作成を依頼されたものの、右も左もわからないまま、HTMLとCSSでサイト構築を始めました。
すると、それがすごく面白かったんです。気がつけばあっという間に8時間が経過していたなんてこともありました。
今が転職の時だ!と実際に転職活動に向けて動くことにしました。

転職時の年齢は?

36歳です。

勉強方法は?

私の場合は、前職を退職してから勉強に取り掛かりました。
まずは独学で勉強してみたのですが、全然わからずお手上げ状態でした。
そこでプログラミングスクールに通信で通い始めました。しかし、そこで教えられたことはできるものの、いざ自分がやりたいことをやろうとしてもできないという状態で止まってしまったのです。
これでは実務に活かすことはできません。
そこで、最終的に職業訓練制度を利用してJavaの講座を受講しました。4ヶ月間、月曜から金曜まで毎日通学しました。
プログラミングスクールと違った点は、基本的なことでもその都度先生に質問できたことです。わからない点をその場で解消することでスキルが身についていきました。
また、職業訓練校ではプログラミングを体系立てて学ぶことができ、最終的にはWEBアプリケーション作成まで経験することができました。
結果的に自分にはこの学習方法が一番合っていたように思います。失業中だったので、失業給付金をもらいながら受講できた点も助かりました。
もし同じような状況の方であれば、職業訓練校の講座を活用してみるのもオススメです。

ポートフォリオについて教えてください

まず、簡単に言うと「ポートフォリオ」というのはその時点での自分の実力を示す作品のようなものです。
エンジニア転職の際には企業側から提出を求められますので、未経験であっても必ず準備する必要があります。

また、ポートフォリオの作成を進めていくうちに自分に足りないスキルが見えてきて、さらにスキルアップすることが可能です。
もちろん、選考時には面接官から色々と質問され、それについて答えていくことで自分のことをわかってもらうことも大切ですが、ポートフォリオがあれば、候補者の実力が一目瞭然でわかるのでエンジニア転職においては非常に重要なものなんです。

私の場合は、職業訓練校での講座を通して、MVCモデル(WEBアプリケーション開発で頻繁に用いられる概念の1つ)を理解できたので、ECサイトを作成してそれをポートフォリオとすることにしました。
サイトで商品を購入して、それをカートに入れ、データの受け渡しをする、というところまでのものです。
やっとの思いでポートフォリオを作成したわけですが、企業側から「作成したコードを送ってほしい」と言われ送ったものの「うちではこういう使い方はしないよ」と言われたり、面接官の反応が思わしくないことも多々ありました。
また、今では笑い話ですが、面接時にノートPCを持参して「私が作成したポートフォリオはこれです」と面接官に見せていたんです。
面接終わりに面接官に「Aさん、サーバーにデプロイ(※1)することって知ってる?実際にユーザーにECサイトを使ってもらおうと思ったらノートPCをこちらで用意するなんてことはないよね?是非やってみて。」と言われました。
当時の私はサーバーにデプロイするということを知らなかったのです。
コードを作成して終わりではなく、是非作成したものをサーバーにデプロイするところまでやってみてください。
ちなみに最終的に内定をいただき入社を決めたのはその会社です。

関連記事:転職で「ポートフォリオ」がエンジニア未経験者にとって重要な理由

※1.デプロイとは、開発したアプリケーションをWEBサーバー上にアップロードしてユーザーが利用できる状態にすること

ポートフォリオは何個くらい作成したら良いでしょうか?

もちろん理想は複数のポートフォリオを用意する方が良いですが、当時の私は1つ作るので精一杯でした。
SIer(システムインテグレーター)を狙うのであれば1つでも十分だと考えます。複数用意するのに越したことはないですが、重要なのは入社してからなので、納得の行くものをまずは1つ作ってみましょう。

何社くらい受けましたか?そのうち面接にたどり着いたのは?

リクルートエージェントを利用して、エージェントに勧められた企業にいくつか応募しました。多分全部で10社も応募してないです。そのうち面接を受けたのは5社ほどでした。

転職先を選ぶ際に重視していた点は何ですか?

自分の実力不足を自覚していたので、入社後に研修でフォローアップしてくれる企業を選んで受けていました。
また、業界はWEB業界に絞っていました。

未経験者にオススメの職種、業態は?

エンジニアの働き方は、大きく2つに分かれます。SIerのエンジニアと事業会社のエンジニアです。
未経験から目指すなら、まずは受託開発をしているSIerを選ぶことをお勧めします。
理由としては、一般的なSIerだと与えられた業務をこなしていくことの繰り返しとなることが多く、なかなかスキルアップにつながりません。
一方、受託開発をしているSIerの場合は、自分自身で機能等を提案できたり、他社のSIerを雇ってそのマネジメントをしたりと、ある程度裁量を持って働くことができるのです。
これは募集要項や面接で確認すればわかります。一言で「SIer」と言ってもその中身は様々なので是非事前にチェックしておくことをお勧めします。
もちろん、やりがいや給与を考えると理想は自社サービスを開発している会社のエンジニアになることですが、未経験者が内定を勝ち取るにはかなりハードルが高いです。エンジニア未経験者はSIerから目指すのが現実的です。
SIerで経験を積み、スキルアップした上で、自社開発に携わることのできるエンジニアにキャリアアップするのがお勧めです。

未経験からの転職で一番苦労した点は何ですか?

とにかくわからないことの連続でした。
特に入社後は、会社の人と話していても、知らない単語が次から次へと出てきて「私は外国の人と話しているのかな?」という状況が何度もありました。

エンジニアのやりがい、楽しさってズバリどういうところですか?

楽しさを感じるのは、自分の手で動くものを作り出せた時と問題があった際にそれを解決できた時です。
また、仕事を通して自分がレベルアップしていくのを実感できるので、それがやりがいにつながっています。

前職(異業種)での経験が今役立っていることはありますか?

これはいくつかありますね。
一つ目として、前職でのマネジメント経験は今の業務にも活きています。
二つ目にストアマネージャーとして多くの面接で面接官をしていた経験です。人が足りない店舗が多かったので、軽く200件くらいは面接をしました。
面接の数を重ねるうちに、応募者の方と少し話しただけで、その人が一緒に働く仲間としてふさわしいのかがわかるようになりました。
いくら仕事ができる人でも一緒に働きたいかどうかは別問題ですよね。これを判断する力が現在開発チームをマネジメントする上でも役に立っています。
三つ目に、厨房での業務で一度に大量の料理のオーダーをさばいていたことです。このことは、物事に見通しを立てて、優先順位をつけて業務を進めていくことにつながっていると感じます。
最後に、理不尽に怒られることへの耐性がついていたことです。(笑)ちょっとやそっとのことではくじけない精神力が前職で培われました。

未経験からエンジニアへ転職する方へのメッセージ

エンジニアとして働く上で大事なことは、「わからないものをわからないままにしない」こと。これが非常に大切です。
それを1つ1つ潰していくことで、デキるエンジニアに近づいていくと私は考えています。
ただし、エンジニアを目指し始めたばかりで何もわからない時期は、わからないことを1つ調べると芋づる式にわからないこと、調べるべきことが出てきて、めげそうになると思います。
でもそれを繰り返していくうちに、だんだんとわかるようになってくる。ここで挫折しないことが大事です。

3.まとめ:未経験からのエンジニア転職を考えている方へ

Aさんの体験談は、未経験からの転職を目指す方にとって、非常に参考になる内容ではなかったでしょうか。
皆さんは体験談を読んでみて、どのように感じられましたか?
「未経験だけど私にもできそう!」と感じた方や、「やっぱり私にはエンジニアになるのは難しいかも・・・」と自信がなくなってしまった方も、いらっしゃるかもしれませんね。
もし未経験からエンジニアへの転職を目指すなら、まずは自分の立ち位置を確認することから始めましょう。
興味のある企業ややってみたい業種の募集要項を見て、自分に足りないスキルがどういったものであるのか洗い出してください。
それが分かれば、あとは必要なスキルを身につけるために手を動かすのみです!

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