【プロンプトエンジニアリング超入門】09.生成AIに考える時間を与えるテクニック|解決策を考えさせる、見落としがないか確認する

プロンプトエンジニアリング

プロンプトエンジニアリング超入門の第9回目です。
この動画では、「効果的なプロンプトを作る4つのポイント」の中の4つめ「モデルに「考える」時間を与える」についてです。
この動画では、次のような疑問を解消します。

・AIに考える時間を与えるテクニックとは?
・AIの見落としを防ぐ方法はあるの?

この動画では、これらの疑問を解消します。
生成AIに「考える」時間を与える2つのテクニックをご紹介します。
これらの方法を使えば、生成AIからより正確な結果を得ることができます。

ITやDXについての学びを発信する「キノコード」です。
私は紀貫之の子孫で、文章ではなくコードを書いているので「キノコード」と名乗っています。
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生成AIに「考える」時間を与える

質問です。3秒以内に答えてみてください。127 × 238 は何でしょうか?
このようにすぐに答えが求められると、ミスが起こりやすくなりますよね。
生成AIに対する問いかけも同じです。
生成AIに、少し考える時間を与えましょう。
具体的には、たとえば、127 × 238を解く場合、小学生の頃に学んだように、1の位、10の位、100の位といったふうに分けて計算するのが効果的です。

考える時間を与えるテクニックとして2つ紹介します。

  1. 生成AIに自分で解決策を考えさせる
  2. 前回の回答で見落としがないか確認する

生成AIに自分で解決策を考えさせる

「生成AIに自分で解決策を考えさせる」についてお話しします。
たとえば、新人の同僚が作成した経費精算書が正しいかどうかを確認したいとします。
その際に「この精算書は正しいですか?」とだけAIに聞くと、誤った回答が返ってくるかもしれません。
具体例で見てみましょう。

新人の経費の明細として、
交通費5000円。
食事代3000円。
消耗品費2000円。
合計が11000円と申請をしたとしましょう。
そして、合計は正しいですか?と質問してみましょう。

ちなみに、合計は5000足す3000足す2000で合計は10000円ですよね。
計算結果は間違っているので、間違っていますと回答がこなければならないです。

なお、生成AIの精度向上がわかりやすいように、ChatGPTの古いバージョンであるChatGPT3.5Turbo使って試してみましょう。
実行します。

経費明細
・交通費:5,000円
・食事代:3,000円
・消耗品費:2,000円
合計11,000円

質問:上記の合計は正しいですか?

生成AIは「正しいです」と答えています。
正しくは11000円なのに、10000円で正しいといっています。

そこで、AIに最初に自分で同じ計算をしてもらう方法が有効です。
その後、その計算結果と新人の精算書を比較させましょう。
具体的には、「まず自分で経費の合計を計算してから、新人の精算書が正しいかどうかを評価してください」と指示します。

経費明細
・交通費:5,000円
・食事代:3,000円
・消耗品費:2,000円
合計11,000円

質問:まず自分で経費の合計を計算してから、新人の精算書が正しいかどうかを評価してください
AIの解答:

交通費:5,000円
食事代:3,000円
消耗品費:2,000円
合計:5,000円 + 3,000円 + 2,000円 = 10,000円

評価:

新人の合計は11,000円ですが、正しくは10,000円です。なので、計算にミスがあります。

「新人の合計は11,000円ですが、正しくは10,000円です。なので、計算にミスがあります」と回答してくれました。
正しい答えですよね。

今回は、生成AIの精度が変わってくる様子がわかるように、ChatGPTの3.5Turboを使いました。
最新のバージョンだとこのような単純な計算では間違えることはありません。
しかし、このようなプロンプト実行をして、AIに考えるプロセスを含めて答えてもらうことで、より正確な結果を得ることができるとわかっていただけたと思います。
そこで、必要に応じて、生成AIに、まず自分で問題を解決するプロセスを踏むよう促すことをやってみましょう。
そうすることで、AIが誤った結論に飛びつくのを防ぎ、正確な回答を得ることができます。

前回の回答で見落としがないか確認する

皆さん、生成AIを使っていて、「見落としがないかな」と心配になることがあると思います。
生成AIからより正確な結果を得るための方法として、「前回の実行で見落としたものはないか尋ねる」というテクニックがあります。
具体的に見ていきましょう。

例えば、あなたは「仕事で成果を上げるために必要なポイントは何か」という質問に答えるために、多くのビジネス書から関連する抜粋を集めたいとします。
そこで、ビジネス書の抜粋として、生成AIに情報を提供した上で、「仕事で成果を上げるために必要なポイントは何か』と質問をしてみましょう。
また出力形式を指定して実行してみましょう。

三重引用符で囲まれた文書から、この質問に関連する抜粋を選んでください
『仕事で成果を上げるために必要なポイントは何か』。

出力は以下の形式でお願いします。
{抜粋:抜粋内容}

"""
成果を上げるためには、まず目標設定が不可欠です。  
具体的で達成可能な目標を持つことで、行動の方向性が明確になります。  
また、定期的にその目標を見直し、進捗状況を確認することが重要です。  
加えて、自己管理のスキルを向上させることも成果に大きく寄与します。  
時間を効率的に使い、優先順位をつけて取り組むことが求められます。  
最後に、他者との協力やチームワークを大切にすることも、目標達成には欠かせない要素です。
"""

出力:
{抜粋:成果を上げるためには、まず目標設定が不可欠です。  
具体的で達成可能な目標を持つことで、行動の方向性が明確になります。}

抜粋として、「成果を上げるためには、まず目標設定が不可欠です。具体的で達成可能な目標を持つことで、行動の方向性が明確になります。」と返してくれましたね。
しかし、成果をあげるためには、他にも「定期的に目標を見直し、進捗状況を確認すること」「自己管理のスキルを向上させることも成果に大きく寄与します」。また、「他者との協力やチームワークも大切だ」ともいっていますよね。
生成結果に心配な場合は、生成AIにもう一度、「他に関連する抜粋はありますか?重複は避けてください」と尋ねてみましょう。

他に関連する抜粋はありますか?重複は避けてください。

出力:
{抜粋:自己管理のスキルを向上させることも成果に大きく寄与します。  
時間を効率的に使い、優先順位をつけて取り組むことが求められます。}

「自己管理のスキルを向上させることも成果に大きく寄与します。時間を効率的に使い、優先順位をつけて取り組むことが求められます」と追加で返ってきました。
このように、生成AIに「見落としはないか」「本当に改善点はないか?」と念押しで尋ねることで、より多くの情報を引き出すことができます。

なお、「見落としはないか」というプロンプトに関連をして、生成された文章などをさらにブラッシュアップさせる汎用的なプロンプトがあります。
具体的には、「今のあなたの生成結果は60点です。60点である理由を考えた上で、100点を目指した生成をしてください」という指示をしてみましょう。
これを10回繰り返してもいいです。
これで、生成結果がブラッシュアップされるケースがあります。
これは、深津貴之が提唱したプロンプトです。
このテクニックもぜひ活用してみてください。

この記事の執筆・監修

キノコード
キノコード    

テクノロジーアンドデザインカンパニー株式会社のCEO。
日本最大級のプログラミング教育のYouTubeチャンネル「キノコード」や、プログラミング学習サービス「キノクエスト」を運営。
著書「あなたの仕事が一瞬で片付くPythonによる自動化仕事術」や、雑誌「日経ソフトウエア」や「シェルスクリプトマガジン」への寄稿など実績多数。

まとめ

この動画で学んだことをまとめます。

・生成AIに「考える」時間を与えることで、より正確な結果を得られる。
・AIに自分で解決策を考えさせるテクニックを使う。
・前回の回答で見落としがないか確認するようAIに促す。

明日から、ぜひこれらのテクニックを活用してみてください。

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